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11vol.237 Winter 2019 健康・医療に関わる大切な判断を医師や家族などに任せっきりにしておくのは決して幸せなことではない。自分で意思決定する価値をもっと見直そう||そういう考え方を選択肢の1つに入れておいて損はないと思うのです。を選べるのが幸福な状態である、ということ。それが世界的な価値観です。 日本人もそうした価値観をもっていないわけではありません。しかし、明確に意識していないところがあります。 日本人にはむしろ、自分が幸せになるよりも、他人の役に立つ、ときには自分を犠牲にしても他人に奉仕するほうが偉い、尊いという価値観が強いようです。自分が幸福で他人も幸福なら最良のはずなのに、自分は不幸でも他人を幸福にすると評価が高くなる。睡眠時間の短さや残業時間の多さなどを盛んに言い募り、まるで自分がいかに不幸かを自慢しているかのような人は珍しくありません。 日本人の自尊感情が欧米人に比べて低いという研究報告もあります。欧米では自分が幸福で周りの人も幸福になるように頑張れば評価される。2つ以上の選択肢の中から自分で意思決定することによって自分も他人も幸せになれれば最も素晴らしい。ところが日本では、自分で意思決定せず、右へ倣えで流されて滅私奉公すると評価されるわけで、これでは自尊感情の高まりにも限界があるのではないでしょうか。最も幸せなのは「健康を自分で決める力」がある人 神戸大学の西村和雄特命教授と同志社大学の八木匡教授は2018年、国内2万人へのアンケートをもとに、幸福感についての調査を実施しました。主観的な幸福感を測る質問を投げかけ、「所得」「学歴」「自己決定」「健康」「人間関係」の5つの因子が幸福感とどう相関するか分析したところ、幸福感に与える影響力のトップは「健康」で次が「人間関係」。続いては「所得」「学歴」より「自己決定」が強い影響を与えることが分かりました。人生の選択の自由度が高いほど幸福感が高い、という世界的な傾向と符合する結果です。この調査では、自分の意思で進学する高校と大学、就職する企業を決めたか否かで自己決定度を評価しています。進学先と就職先を自分で決めた人のほうが、所得と学歴の影響を取り除いても幸福感が高かったのです。対して、自分ではそれほど行きたくなかった進学先や就職先だけれど、人に勧められてそうした人は幸福感が低く、さらには不安感も高いという結果が出ました。 所得や学歴より自己決定のほうが幸福感の決め手。そして幸福感をもたらす最大の因子が健康。この2つの結果から「健康を自分で決める力があれば最も幸せにつながる」という仮説を立てられます。健康を自分で決める力とは、ヘルスリテラシーそのものにほかなりません。特集・シリーズ ◉ 「健康を決める力」で幸せになる010203040506070病気がないこと身体が丈夫なこと美味しく飲食できることぐっすりと眠れること不安や悩みがないこと幸せを感じること家庭円満であること生きがいを感じること仕事がうまくいくこと人間関係がうまくいくこと他人から認められること他人を愛することができること前向きに生きられることその他63.8%40.3%40.6%27.6%19.1%11.9%13.6%9.5%3.1%6.4%1.5%2.6%11%0.9%平成26年3月 みずほ情報総研株式会社「少子高齢社会等調査検討事業 報告書 (健康意識調査編)」より引用表2健康を感じるためには身体面だけでなく精神面も重視される「Q. 健康感を判断する際に重視した事項は何ですか」に対する回答

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