対談
- 漲るエネルギーと独自性
- 竜安寺の石庭は今でもモダン
- 不断の革新
- 具現化した岸和田城庭園
- 海を越えた日本庭園
- 庭園における景と用
竜安寺の石庭は今でもモダン
石黒 : 三玲という名は珍しいですが、本名ですか。
重森 : もともと絵画を志していたこともあり、印象派の巨匠であるミレーには大きな関心があった様子で、学生時代に描いた絵にミレーと読めるサインがあります。しかし雅号に飽き足らずに戸籍の本名まで変えてしまった。出家すれば戸籍を抹消できることを知り、一度出家して戸籍をいったん抹消して、再び戸籍に入る時に三玲と名前を変えたと聞いています。今は戸籍を抹消すると何年間かは戻れないそうですが、当時はすぐに戻れたらしい。
石黒 : ご長男は完途(カント)さん、これも目新しい。
重森 : 上からカント、コーエン、ユーゴー、ゲーテ、バイロンと名付けられています。
石黒 : 変わっているとしか言いようがない(笑)。でもお孫さんである千靑(チサヲ)さんは日本の名ですね。
重森 : 父の完途が外国名に反発を感じたようで、自分の子供には徹底して日本文化を彷彿させる名前を付けたようです。古事記や万葉集に造詣が深かったようで、千青という名も古事記からの引用だと聞いています。
石黒 : 何事によらず、三玲には挑戦者のイメージが強いです。
重森 : 古典はそれが誕生した時代において常に斬新であり、だからこそ古典として命を長らえるのだと思います。三玲は古典が持つこの斬新性に大きな関心を寄せて挑戦した人です。この斬新に牽引される形でさまざまな文化も生まれてくる。ここに古典の重要性があるのですが、これを模倣していては新たな古典は生まれない。このことを三玲は古庭園を実測しながら自分で発見したのですね。古典の斬新性を上回らないことには古典を学ぶ意味がない。これが永遠のモダンにつながっているんです。
石黒 : 永遠のモダン、あらためて考えるといい言葉ですね。それはいつの世にも古びることなく私達に斬新さと感動を与え続けてくれることだと思います。
重森 : 三玲が竜安寺の石庭を見てまさに同じことを述べています。500年以上も前にあのように斬新な造形が行なわれたことに驚嘆すると共に、自分達は更に新しい古典を目指さねばならないという決意を固めたのではないでしょうか。
石黒 : たしかに、竜安寺の石庭は今でもモダンです。











